大阪都構想って、住民説明会いったけど、結局根拠なかったなあ。
一体何がよくて、どこがあかんの?
詳しく教えて欲しいわ。
こう言った疑問に答えます。
大阪市職員として42年間奉職し、数々の行政現場を経験した私が、住民サービスとは何なのかを、また、大阪市と言う政令指定都市から、特別区になると恐ろしいことを解説します。
都構想って何やわからんけど、大阪がようなるっちゅうんやったら賛成やって言う方に、是非よく考えて欲しいと思います。
そんな簡単なものではないと言うことがわかっていただければ幸いです。
本記事のテーマ
大阪都構想とはわかりやすく言うと大阪市を廃止し自治権を奪う事です。
これが一体何を意味するのかを順に説明していきますね。
この記事では
・大阪都構想で大阪市を廃止する
・自治権
・都にはならない
・何となくで決めて良いレベルではない
・なぜ根拠がぶれるのか
について、以下の通りまとめました。
それでは早速みていきましょう!
大阪都構想で大阪市を廃止する
これ、よく聞きますけど、ピンときませんよね。
松井市長も、住民説明会で大阪市を廃止するのではなく大阪市役所を廃止すると記載できないかと聞いています。
論点ずらして、市役所なくなるだけかと思わせる戦法ですね。
市民にとって大阪市役所がなくなればどうなるか、さほど関係ないんちゃうんのレベルになりますよね。
ところがこれ、大阪市が廃止するとなると、どうです?
住所が変わる?
コレぐらいではすみません。
まず、大阪市って、いわゆる政令指定都市と言って、地方自治で一番権限と財力を持っている自治体なんです。
これを廃止して、権限と財力を大阪府に集約しましょうと言うことです。
ちょっと、危機感感じますよね。
つまり、住民投票は、大阪市を廃止して、権限と財力を大阪府に移しますけど、いいですか?ってことなんです。
これ、賛成するとどうなるんでしょう?
自治権
自治権というのは、自治体が持つ権限のことですね。
自分の市のことは、自分たちで決めることができるというものです。
例えば、道路の整備、市民利用施設、プールやスポーツセンター、老人福祉センターを作ったり、敬老パスや子ども医療費助成、塾代助成、など、生活に直結するようなことを大阪市の財源の中で決定できるんですね。
特別区になると・・・
自分たちが決めるのではなく、決めるのはすべて大阪府の裁量になります。
自分たちで決められなくなるとどうなるか。
いちいち、大阪府にお伺いを立てなければいけません。
すみませんが、道路が穴ぼこだらけなので修復して欲しいんですけどよろしいでしょうか?
とまあ、こんな具合ですね。
なので、大阪市のためにわかりましたすぐに用意しますとなるのか、今お金ないから、今度ね。となるのかは大阪府次第ということです。
そして、都構想の財政趣味レーションの中には、コレらの施設の縮小が盛り込まれています。
24区にあるものが4つの特別区になるから、無駄を省く必要があるというわけですね。
ここまで聞くと、なんか、やばい気がしてきました。
そうなんです。
お金がなくなるから、住民サービスは低下せざるを得ませんし、中核市どころか、一般市以下になると言われていますね。
大阪市の人事委員会が出した試算だと現在の職員数で、4つの特別区と一部事務組合を回すだけの人材がなく、採用人数を増やさないとコレまでの行政サービスを行うことができなくなってしまうと試算しています。
つまり、公務員の数は増えて人件費は嵩むということですね。
一方で財源はないわけだから、住民サービスに回すことが必然的にできず、特別区の区長がいくら、行政サービスを充実したくてもお金がないからできません。となるわけですね。
よく、議員や公務員は既得権益を守りたいから、現状維持したいだけだと推進派入っていますが、そんなことはまったくなく、議会も特別区の区長が選挙で選ばれますし、その分余計に経費がかかりますね。
公務員も、首にはならず、特別区の職員に分散され、さらに職員数も増やされますから、職員としては、特に痛みはないわけです。
身を切る改革とは、市民が身を切る改革なんですね。
都にはならない
住民投票で万が一賛成多数となった場合でも、都にはなりません。
現行制度では、自治体の名称を変えることはできませんので、都になることはできず、大阪府のままです。
ところが、大阪市はなくなりますので、行政サービスが低下しただけとなってしますんですね。
都になるには法律の改正が必要です。
コレにも数年かかるでしょうね。
何となくで決めて良いレベルではない
なんとなく、大阪都になったらカッコええやんで決めて良いレベルではありません。
あなたが負担した税金は、大阪府のために使われます。
もちろん大阪市のために使われる部分もありますし、推進派はサービスの低下をさせませんと言い切っていますね。
ところが、その保証というのは、どこにも記載されていません。
なので、政令指定都市が特別区になるということは、格上げではなく、格下げなのです。
変化が必要なのはいつの時代も言われています。
それが本当に必要なことだったのかわかるのは、10年も20年も先のことになるかもしれません。
郵政民営化がその良い例ですね。サービス激減しましたからね。
今回の都構想についても市が廃止になれば、大阪市民はなんて大阪府思いなんだろうってことになりますかね。
コロナでの地下鉄の減収がかなり大きいですし、頼るところは市民の税金しかありません。
特別区になれば、税収は大阪府に吸い上げられますし、コレまで黒地経営だった大阪メトロも、コロナで収入が激減しています。
一民間に行政の財源が左右されるんですから、大阪メトロが稼がなければ、特別区の予算は毎年、どんどん減少していきます。
しかし、行政は博打ではありません。
確実な住民サービスの低下が危惧されていることを推進することは、全くもって容認できるレベルではないとということですね。
なぜ根拠がぶれるのか
都構想が出た5年前は二重行政の解消により、8000億円の効果が期待できると言ってましたが、4000億円になり、数百億になり、今では数億程度。
そして、特別区を維持していくためのシステム投資や職員の増加などで初期投資は500億円以上とも言われており、毎年、40億円から50億円もの運用コストが必要とされています。
さて、この費用、いったいどこから捻出されるのでしょう。
もちろん、あなたの血税ですよ。
大阪市民は270万人ですから、一人当たり2万円ほど負担することになりますかね。
そして、毎年、2000円ほど税金が上がるかもしれませんね。
もちろん、非課税の方も含まれてますから、実際はもっと若い世代の負担額が多くなるでしょうね。
しかも、サービスは低下です。
前述した、大阪市独自の施設、プールやスポーツセンター、老人福祉センターの廃止や、敬老パスや子ども医療費助成、塾代助成の廃止もやむを得ません。
コレを守るとするならば、どこを削るのかということになりますね。
コレも明確な答えはありません。
どこにも明記もされません。
企業からの法人税もコロナで減収してますから、さらに増税が加速しそうです。
つまり、根拠がないから、ブレまくりなんですよね。
はじめっから効果なんてないのに、効果があるような資料を作り出すため、いろいろなものをぶち込んだものの、あちこちから指摘が出て、都構想と全く関係のないものや、土地の売却益なども入れていたことが判明し、実際は効果がなかったというからお粗末なものです。
それを作らされた大阪市職員が不便ですよね。
大阪都構想 まとめ
ここまで、読んでいただいた方は、大阪都構想がいかに根拠のない構想なのかがわかっていただけたのではないでしょうか。
まだわからんという方は、京都大学の藤井教授が出されている著書を読むとよくわかると思いますよ。
住民投票まで、あと1ヶ月を切っていますが、大阪市民が全国に笑われないような判断をしていただけることを期待しています。